確かに阪神の投手陣は12球団屈指の陣容だ。先発は才木浩人、村上頌樹、デュプランティエ、伊原陵人、大竹耕太郎、伊藤将司、門別啓人、ビーズリーと実力者がズラリ。さらに、右膝内側側副靱帯の変性で出遅れた西勇輝もファームで順調に登板を重ねているし、昨年11月に左腕の手術を受けた高橋遥人も後半戦に1軍合流の可能性がある。青柳は2021、22年と2年連続最多勝に輝いたが、昨年は12試合登板で2勝3敗と先発ローテーションの枠に入れていなかった。阪神投手陣は外部補強の必要性を感じない顔ぶれで、青柳の古巣復帰は現実的ではない。
先発不足のヤクルト、お得意様だったDeNA
だが、阪神以外の球団に目を向けると、先発のコマ不足に悩むチームは少なくない。
最下位に低迷しているヤクルトはチーム再建に向け、先発陣強化が最大の補強ポイントになっている。先発で計算できるのは吉村貢司郎、新外国人右腕のランバートの2人のみ。主戦として期待される小川泰弘は8試合登板で2勝4敗、防御率4.66、開幕投手を務めた奥川恭伸は6試合登板で0勝3敗、防御率5.81と精彩を欠き、23年WBC戦士の高橋奎二も5試合登板にとどまっている。
「1年間を通じて先発ローテで計算できる投手が少なすぎます。長いイニングを投げられる投手が少ないので、救援陣に負担がかかる。一昨年の山崎福也(日本ハム)、昨年の石川柊太(ロッテ)と好投手がFA権を行使した際に交渉しましたが、獲得できていません。青柳がもし日本球界復帰するとなれば、獲得を検討するでしょう」(ヤクルトを取材するライター)
昨年日本一に輝いたDeNAは、助っ人外国人投手への依存度が高い。ジャクソン、ケイ、バウアーの去就次第では先発陣の補強に動くことが考えられる。青柳は阪神時代にDeNA戦で相性が良いことで知られ、21年は4勝0敗、22年は3勝1敗、23年は5勝2敗と白星を稼いでいた。当時対戦したDeNAの選手は「青柳さんは厄介でしたね。直球と同じ球速帯のツーシームが右打者の内角に食い込んでくる。その球を意識して踏み込めないと、外角に逃げるスライダーで内野ゴロに仕留められる。適度に荒れているので絞りにくかったのも攻略を難しくしていました」と振り返る。